summary

かつて天地の果、昼夜の境、生物と精霊の別がなく、茫洋としていた世界コクレアニムは、大精霊べルシウスの布いた秩序によって三界に分断され輪郭を得た。精霊達は旋界へ、人間を初めとした生物達は縁界へ。精霊、生物双方の特徴を兼ねる者は金眼と呼ばれ、ベルシウスはこれを禁忌として間界に幽閉した。 互いに往き来を断たれた三界は〈式〉という技術でのみ渡界を許され、式の使い手〈式士〉は、精霊の能力を借りる術を持つことで権勢を振るい、ベルシウスとその秩序を奉じている。 東大陸トワイサイレニアにおいて最も式士の権威の強い王国アルデリシアでは、式士の組織〈双門同盟〉が社会基盤にまで関与し、所属する合法的な式士は〈竜〉と通称されている。一方、非合法に操業する者は〈蛇〉と呼ばれ、後ろ暗い目的において”活用”されていた。